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意外と知られていない、ダ・ヴィンチの本当の凄さとは?

  • 2020年1月18日
  • 2020年6月29日
  • 西洋画
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レオナルド・ダ・ヴィンチ「モナ・リザ」

レオナルド・ダ・ヴィンチは世界で一番有名な画家と多くの人が認めるところだと思うが、それ故世界で一番有名な絵画もダ・ヴィンチの「モナ・リザ」でほぼ異論はないと思う。

その次にダ・ヴィンチの有名な作品は、これまた「最後の晩餐」で異論はない。

では他には?
3つ目ともなるとかなり怪しくなってくる。
「受胎告知」や「岩窟の聖母」などを答えられる人は限られてくる。

つまり、ダ・ヴィンチは世界一有名な画家なのだが、彼の残した作品は意外なほど少ない。しかし、有名な作品があまりにもインパクトがあるためダヴィンチは評価が高いのだ。そんな彼の意外な一面を記してみたい。

ダ・ヴィンチ、ヴィンチ村に生まれる

ダ・ヴィンチは1452年フィレンツェ郊外のヴィンチ村に生まれる。俗にいうルネサンスの三巨匠であるダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロの中でも最年長でミケランジェロより23歳、ラファエロよりも31歳も年上だ。

実はダ・ヴィンチは生前それほど有名じゃなかった

今でこそダヴィンチはこの3人の中で一番の知名度と実績を兼ね備えているように思われているが、実は近代以前は圧倒的にラファエロの方が評価が高く、ダ・ヴィンチは足元にも及ばなかったのだ。

その証拠に現在、世界で一番有名な「モナ・リザ」もダ・ヴィンチが生きている時代には売れず、そのためダ・ヴィンチは生涯「モナ・リザ」を持ち歩いていたという。

「モナ・リザ」は何故これほどまで有名なのか

では「モナ・リザ」の魅力とは何か。なぜこの絵がそれほどまでに有名なのか。その質問に答えられる人は意外と少ない。謎の微笑みや半身に構えた構図などいろいろあるだろう。もちろん盗まれた回数も作品の知名度を上げることに貢献している。

「遠近法」と「陰影法」の確立

しかし、美術史的に重要なのは「遠近法」と「陰影法」の二つの技法である。「遠近法」とは単純に手前にあるものを大きく、遠くにあるものを小さく描くことで、二次元の画面の中に奥行きを表現するもの。「陰影法」は物体の影など陰影を描くことで立体感を表す表現法であり、どちらもルネサンス期に確立された絵画技法である。

鍵は「スフマート」にあった

この「遠近法」と「陰影法」を確立したとされるのがルネサンス三巨匠でありその中でもダ・ヴィンチの貢献度は高いのだ。「モナ・リザ」をよく見てみると輪郭線がなく、目や鼻などの境界部分は何度も色を塗り重ね、境界をわざと無くしているのがわかる。それが「スフマート」と呼ばれるグラデーション技法であり、ダ・ヴィンチの代名詞ともなっている。

この「スフマート」を可能にしたのが、フランドルで生まれた油彩画の技法だ。油で顔料を溶く油彩技法では何度も塗り重ねが可能となり、結果として滑らかなグラデーションが生まれるのだ。

二つの遠近法を駆使する

また、背景を流れる川は「線的遠近法」で描かれている。「線的遠近法」は「一点透視図法」とも呼ばれ画面の中の一点(消失点)に向かって物体が配置される構図法である。また、遠くの景色は薄青で描き、近くの景色は赤褐色ではっきり描くという「色彩的遠近法」を駆使している。

これら遠近法と陰影法、さらには安定した三角形の構図などルネサンス期に確立された西洋の古典技法が全て詰まったのが「モナ・リザ」なのである。これが「モナ・リザ」が世界で一番有名な絵画と呼ばれる所以である。

まだまだある、ダ・ヴィンチの意外な特技

ダ・ヴィンチは膨大な量のメモや素描を残しているが、その中にはペリコプターやハンググライダーなども含まれており、ダ・ヴィンチが万能の天才と呼ばれる所以である。

ダ・ヴィンチは67年の生涯にしては驚くほど作品を残していない。これはダ・ヴィンチの飽きっぽい性格が災しており、作品を最後まで描かずに他の作品に取り掛かってしまうダ・ヴィンチの悪い面が出た結果だ。実は「モナ・リザ」も未完の作とされ生涯に渡って手を加え続けていたのだ。

多種多様なジャンルに精通する万能の人

ダ・ヴィンチは世界で一番有名な画家といわれているが、その実態は意外なほど知られていない。絵画以外にも音楽、建築、数学、幾何学、解剖学、生理学、動植物学、天文学、気象学、地質学、地理学、物理学、光学、力学、土木工学など多種多様なジャンルに手をだす好奇心の塊のような性格だった。それら驚異的な教養がダ・ヴィンチの芸術を高めているのかもしれない。

参考文献:「ヘンタイ美術館」山田五郎、こやま淳子著 ダイヤモンド社

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