美術検定の練習問題です。前回に引き続き西洋美術(4級)のルネサンス〜近代絵画の範囲内で出題しています。
ぜひチャレンジしてみてください。
ルネサンス
Q. 下図の作者は誰でしょう?
1 ラファエロ
2 ミケランジェロ
3 レオナルド・ダ・ヴィンチ
4 マザッチョ
正解1 ラファエロ
ラファエロの「ベルヴェデーレの聖母」です。ラファエロは「聖母子」の画家と言われるほど、たくさんの聖母子、つまりイエス・キリストとその母マリアの像を描いています。三角形の安定した構図はレオナルド・ダ・ヴィンチから影響を受けています。
ミケランジェロは「聖家族」という絵を描いています。聖母マリアと幼児キリスト、聖ヨセフ、洗礼者ヨハネを中心とした構図となっています。
レオナルド・ダ・ヴィンチも多くの聖母子像を描いていて「岩窟の聖母」や「聖アンナと聖母子」などが知られています。
マザッチョはルネサンス初期のイタリア人画家で、一点透視図法を作品に取り入れた最初の画家で「貢の銭」などが知られています。
Q. イタリア・盛期ルネサンスの三大巨匠として知られている芸術家の組み合わせとして正しものはどれでしょう?
1 ボッティチェリ、ラファエロ、ミケランジェロ
2 ミケランジェロ、ボッティチェリ、ティツィアーノ
3 レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ボッティチェリ
4 ラファエロ、ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ
正解4 ラファエロ、ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ
イタリア盛期ルネサンスを代表する芸術家としてはレオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロが挙げられます。
レオナルド・ダ・ヴィンチは絵画のみならず建築や自然科学、天文学などあらゆる分野に精通しており「万能の人」とも呼ばれています。
ミケランジェロは彫刻家を自負していましたがシスティーナ礼拝堂の天井画やその祭壇に「最後の審判」を描いています。
ラファエロはルネサンス様式とも言われる線遠近法や陰影法を用いた安定的な構図で数々の聖母子を描いたほか、ヴァチカン宮殿の署名の間には古代ギリシャの哲学者や科学者を描いた「アテネの学堂」などを描きました。
ボッティチェリは初期ルネサンスの画家でメディチ家の依頼によって「ヴィーナスの誕生」や「春(プリマヴェーラ)」などを描いています。
ティツィアーノはイタリア・ベネツィア派を代表する盛期ルネサンスの画家で、豊かな色彩と躍動感のある構図が特徴です。また「ウルビーノのヴィーナス」のような美しい女性の象徴としての女神も描いています。
バロック・ロココ
Q. 現存する作品が30数点と少ない下図の作品を描いた画家は誰でしょう?
1 フェルメール
2 ベラスケス
3 ゴヤ
4 ヴァン・ダイク
正解1 フェルメール
フェルメールはオランダバロック期を代表する画家です。主に画面左から差し込む穏やかな光を巧みに表現し、綿密・知的な構図の絵を残しました。また、フェルメールは当時高価な顔料であったラピスラズリを原料とするウルトラマリンを多用したため、その青は「フェルメール・ブルー」とも呼ばれています。画像は「真珠の耳飾りの少女」です。
ベラスケスはスペイン絵画の黄金期、17世紀を代表する画家です。フェリペ4世に気に入られ、宮廷画家として国王や王女をはじめ宮廷の人々の肖像画などを多く残しました。また、素早い筆の運びと荒々しいタッチが印象派の技法に通じるとしてマネなどの近代の画家に高く評価されました。
ゴヤは18世紀後半から19世紀前半にかけて活躍してスペインの画家です。宮廷画家として活躍し「カルロス4世の家族」や「裸のマハ」などを残しています。
ヴァン・ダイクはバロック期のフランドル出身の画家。イングランド国王チャールズ1世に気に入られ首席宮廷画家として国王の肖像画などを描いています。
Q. 下の絵を描いたスペインの画家は誰でしょう?
1 ゴヤ
2 レンブラント
3 フェルメール
4 ベラスケス
正解4 ベラスケス
ベラスケスはスペイン・バロックを代表する画家で、宮廷画家としても活躍。出題作品の「ラス・メニーナス」はスペイン語で「女官たち」を意味し、画面左にはベラスケス自身、鏡に映るのはスペイン国王夫妻、そして王女のマルガリータや女官、侍女などが描かれていますが、謎の多い絵でもあります。
スペインの宮廷画家として活躍したゴヤは、初期にロココ風の作品を描いていますが、西洋絵画で初めて女性のヌードを描いてスキャンダルを起こしたり「黒い絵」シリーズを描くなど作風が非常に変わっていきました。
レンブラントは17世紀オランダを代表する画家です。「夜警」などの集団肖像画で成功しますが、その後、妻の死や財産を没収されるなど転落の人生を味わいます。しかし、晩年は新たな境地で傑作を次々と発表しました。
フェルメールはオランダバロック期に活躍した画家で「牛乳を注ぐ女」や「真珠の耳飾りの少女」などで知られていますが、18世紀になると忘れ去られ、再び脚光を浴びるようになるのは19世紀のフランスでした。
近代美術
Q. 下図の画家とタイトルの組み合わせで正しいものはどれでしょう?
1 ダヴィッド − マラーの死
2 アングル − グランド・オダリスク
3 ジェリコー − メデューズ号の筏
4 ドラクロワ − 民衆を導く自由の女神
正解2 アングル − グランド・オダリスク
アングルは新古典主義を代表する画家で、イタリアへ留学しラファエロ等の影響を受け、理想的な人体バランスの絵を多く描きました。「グランド・オダリスク」では女性の美の際立たせようと胴体や腕を長く描いています。それにより批評家たちからは「椎骨が2つか3つ多い」と批判されました。
ダヴィッドはフランス新古典主義を代表する画家で、「マラーの死」はフランス革命の指導者ジャン=ポール・マラーが入浴中に暗殺された場面を描いています。
ジェリコーは19世紀前半に活躍した画家で、新古典主義と敵対していたロマン派に属します。現実社会の描写に深い関心を示し、実際の事件を基にした「メデューズ号の筏」など生と死が隣り合わせの極限状態を描き、人間の本質に迫りました。
ドラクロワは19世紀に活躍したロマン主義を代表する画家です。1830年の起きたフランス7月革命を主題にした「民衆を導く自由の女神」など劇的な画面構成と華麗な色彩表現で知られ、後の時代の印象派の画家たちに影響を与えました。
Q. 19世紀フランスのバルビゾン派の一人、ミレーが描いていないのは次のうちどれでしょう?
1 落穂拾い
2 晩鐘
3 モルトフォンテーヌの思い出
4 種まく人
正解3 モルトフォンテーヌの思い出
「モルトフォンテーヌの思い出」は1864年にコローが描いた風景画。コローらバルビゾン派の画家はフランスの日常的な事象を描くようになり、フォンテーヌブローの森で写生し、それに基づく風景画を描いていきました。
「落穂拾い」は1857年に描かれたミレーの作品。ミレーはそれまでの美術ではあまり取り上げられなかった労働者階級の人々を描きました。
「晩鐘」はミレーが1857-59年に描いた作品。ミレーはカトリックの家に生まれます。彼が描くのは敬虔で働き者であり、理想化された農民たちの姿です。
「種まく人」はミレーが1850年に描いた油彩画です。同じ構図の絵がボストン美術館と山梨県立美術館にありミレーが2枚描いたことがわかっています。数十年後にゴッホがこの絵を模写しています。