美術検定4級の練習問題です。前回に引き続き西洋美術(ルネサンス〜近代絵画)の範囲内で出題しています。
ぜひチャレンジしてみてください。
ルネサンス
Q. 下の自画像は次のうちの誰でしょう?
1 ミケランジェロ
2 レオナルド・ダ・ヴィンチ
3 デューラー
4 ラファエロ
正解2 レオナルド・ダ・ヴィンチ「自画像」
レオナルド・ダ・ヴィンチは多くの素描を残しており、この晩年の自画像もその一つです。レオナルドは非常に美男子だったという記録が残っています。
ミケランジェロも自画像を残しており「最後の審判」に登場する聖バルトロマイが手にする生皮の頭部がミケランジェロのものとされています。
デューラーが1500年に描いた「1500年の自画像」は単独で自身の姿を描いた自画像では最初の作品と言われています。
ラファエロは「アテネの学堂」でギリシャの哲学者や科学者に紛れる形で自身を登場させています。また、その中ではプラトン役としてレオナルドが、ヘラクレイトス役でミケランジェロも登場しています。
Q. 次のうちミケランジェロの作品でないものはどれでしょう?
1 システィーナの聖母
2 最後の審判
3 ダヴィデ像
4 アダムの創造
正解1「システィーナの聖母」
「システィーナの聖母」は1513-14年にラファエロが描いたもので、ラファエロが最後に描いた聖母像とされます。
「最後の審判」はミケランジェロが60代の頃にシスティーナ礼拝堂の祭壇がに描いたフレスコ画で再臨したイエス・キリストが死者を裁く場面が描かれています。
「ダヴィデ像」はミケランジェロの代表的な彫刻作品。大理石で出来ており高さは5メートルを超えます。
「アダムの創造」はミケランジェロがシスティーナ礼拝堂の天井に描いた作品で、旧約聖書の「創世記」をテーマにしています。中でも「人類創造」を描く「アダムの創造」は最も知られた場面となっています。
バロック・ロココ
Q. 次の作品を描いたフランス・ロココ時代の画家は誰でしょう?
1 シャルダン
2 ブーシェ
3 ヴァトー
4 フラゴナール
正解3 ヴァトー「シテール島の巡礼」
ロココ様式は曲線的で装飾的なスタイルが特徴。ロココ前期の画家ヴァトーの「シテール島の巡礼」は海の泡から生まれた愛の女神ヴィーナスがシテール島へ流れ着いた伝説をもとに、そこに巡礼に訪れる若い男女を描いています。
シャルダンはロココ時代のフランス人画家だが、作風は甘美で京楽的なロココ様式とは一線を画し、中産階級の日常的な生活や静物画を多く残しています。
ロココ盛期の画家ブーシェは、フランス・ルイ15世の国王筆頭画家になり、またフランス王立絵画彫刻アカデミーの院長にもなっている。
ロココ後期の画家フラゴナールは代表作として「ぶらんこ」を描いており、その中では庭園に設けられた、ブランコに乗る若い女性と、それを下からのぞき見る愛人の貴族男性を描いています。
Q. 次のうち、スペインの画家ゴヤが描いた裸婦画はどれでしょう?
1 裸のマハ
2 ウルビーノのヴィーナス
3 オランピア
4 グランド・オダリスク
正解1「裸のマハ」
「裸のマハ」はゴヤが1797年に描いた裸婦画で「マハ」とは小粋な女を意味します。初期のゴヤの作品はスペイン宮廷のロココ文化を反映させたものでした。しかし40代以降は近代的な作品を次々と発表するようになります。「裸のマハ」は長い間、裸体画が禁止されていたスペインにあってヴィーナスなど神話の世界以外の生身の女性を描いた裸体画として知られています。
「ウルビーノのヴィーナス」は1538年にイタリア・ヴェネツィア派の画家ティツィアーノによって描かれたヴィーナス像です。ヴィーナスのポーズは師であるジョルジョーネの「眠れるヴィーナス」を模倣したものとされますが、その後の横たわる裸婦の典型として影響を与えます。
「オランピア」はマネが1863年に描いた裸婦画でティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」を基に娼婦を描いたことでスキャンダルになりました。
「グランド・オダリスク」は新古典主義を代表する画家、アングルによって描かれた裸婦画でイタリア・ルネサンスのラファエロを理想に、女性美を強調したスタイルで描かれています。
近代美術
Q. フランス・ロマン派の画家ジェリコーが描いた下図の作品タイトルは何でしょう?
1 メデューズ号の筏
2 北極海の難破船
3 干し草車
4 雨、蒸気、速力−グレート・ウエスタン鉄道
正解1「メデューズ号の筏」
「メデューズ号の筏」はジェリコーが1818〜19年に描いたもので、1816年に起きた海難事故を基にしており、15人の生存者による飢餓と脱水、狂気といった生と死の極限状態を描いたものとしてスキャンダルを巻き起こしました。
「北極海の難破船」はドイツ・ロマン主義絵画を代表する風景画家フリードリヒによって描かれました。
19世紀イギリスを代表する風景画家コンスタブルによって描かれた「干し草車」。コンスタブルは生涯、故郷サフォーク周辺の身近な風景を描き続け、野外での制作や刻々と変化する光の効果を捉えようとするなど後の印象派の先駆とされます。
「雨、蒸気、速力−グレート・ウエスタン鉄道」はイギリスを代表する風景画家、ターナーが1844年に描いた作品です。ターナーは光と色彩の関係を研究し、嵐など自然の様々な力を絵にしました。
Q. ラファエル前派の一人、ミレイが描いた次の作品のタイトルは何でしょう?
1 オフィーリア
2 ベアタ・ベアトリクス
3 良心の目覚め
4 見よ、我は主のはしためなり(受胎告知)
正解1「オフィーリア」
「オフィーリア」は1851-52年にかけて制作されたミレイを代表する作品。ラファエル前派はイタリア・ルネサンスの巨匠ラファエロ以前の素朴で自然に忠実な作品を目指しました。ミレイはシェークスピアの「ハムレット」を題材に「オフィーリア」を描きますが、実際にモデルを水風呂に入れポーズを取らせて描いたとされます。
「ベアタ・ベアトリクス」はラファエル前派の一員であるロセッティによって1863に描かれました。妻の自殺を機に彼女への追悼の意味を込めて描かれた作品。
「良心の目覚め」はラファエル前派の一員であるハントによって描かれました。男性の愛人は昼間から自堕落な生活を送っていましたが、突然内なる良心に目覚めたという場面です。
「見よ、我は主のはしためなり(受胎告知)」はロセッティによって描かれた受胎告知のシーン。大天使ガブリエルが受胎の知らせをマリアに告げるシーンなのですが、マリアはそのお告げを受け入れることができないのか、不安と恐怖が入り混じった表情で描かれています。