第1回印象派展(1874年)が開催されてから150年という節目の年にモネの回顧展が大阪中之島美術館で開催されます。
印象派の画家の中でもとりわけ人気の高いモネの作品が見られるとあって開催前から話題となっていますが、今回は特に連作に焦点を当てた展覧会となるようです。
そんな展覧会の見どころをご紹介します。展覧会を見にいく前の予備知識として活用いただければと思います。
チラシからわかること
今回の展覧会では2つのキービジュアルが採用されています。一つは睡蓮の葉と花が大写しとなったもの。もう一つはフランスの景勝地エトルタの奇景「マンヌポルト」。前者はモネの代表作、睡蓮ということで納得の選択でありますが、後者は美術ファンでもあまり馴染みのないモチーフではないでしょうか。
実際、モネの連作として直ぐに頭に浮かぶのは積みわらやポプラ並木、ルーアン大聖堂や睡蓮といったところ。この「マンヌポルト」はどちらかというとモネの作品の中ではマイナーな作品といっても過言ではありません。
しかし、あえてここで「マンヌポルト」を選ぶことで、これまでにはない展覧会を予感させることに成功しているとも言えるのではないでしょうか。
また、展示作品、約70点の全てがモネ作品という謳い文句も展覧会のキャッチーな印象を高めています。
見どころ
本展の見どころはサブタイトルにもあるように「連作」が見られることです。モネにとって連作は天候や光、季節や大気の移り変わりを表現する方法でありモチーフとなった積みわらやポプラ並木、ルーアン大聖堂、睡蓮などはモネの代表作となっています。
早朝と夕方では同じ場所を描いても全く違う印象になる。その刻々と変化する様を捉えようとしたとき、連作という手法が一番ふさわしいとモネは考えました。モネは何枚ものキャンバスを戸外に持ちだし、時刻の変化に応じて並行して制作を行なってゆきました。この連作によってモネは画家としての地位を確かなものとしてゆきます。
今回の展覧会ではチラシのメインビジュアルに採用された「ラ・マンヌポルト(エトルタ)」が展示されます。これはフランス北西部ノルマンディー地方の奇岩を描いた作品で、積みわらやポプラ並木といった連作を生む数年前に描かれた、言わば連作の最初期の作品と言えるのです。モネが関心を寄せた光と色彩の変化をこの作品から感じることができるでしょう。
ただ、注意していただきたいのは今回、積みわらは出展されるのですが、同じくモネの代表作であるポプラ並木やルーアン大聖堂といった連作は展示されません。モネの代表的な連作全てが展示されるわけではないので、その点は注意が必要です。
それでも人生の後半生を捧げた睡蓮の連作は名品が多く展示されるので大いに期待できるでしょうか。特に睡蓮を描き始めた当初は景色の一部として描かれていた睡蓮が最晩年には睡蓮の葉や花のクローズアップが主となり、水面に映り込む周りの情景をも描いていくという制作の変遷もお楽しみいただけると思います。
まとめ
今回の展覧会は何といっても全てモネの作品という贅沢な構成となっていることです。さらにモネの初期から晩年まで一通りの作品が展示されているのでモネについてあまり知らない方でも充分彼の画業を堪能できる構成となっています。
さらに、モネの代表作である連作を通して画家が追い求めた光と刻々と変化する色彩の情景をお楽しみいただけます。ぜひこの機会に印象派を代表する画家、モネが追い求めたフランスの繊細で柔らかな光の結晶をお楽しみください。
展覧会情報
【タイトル】モネ−連作の情景−
【会期】2024年2/10(土)〜5/6(月・祝)
【会場】大阪中之島美術館
【公式サイト】https://www.ktv.jp/event/monet2024/artworksmonet/