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曼陀羅とは大日如来の真理を伝える装置だった!その密教の奥義に迫る。

「胎蔵界曼荼羅(教王護国寺)」

密教の真理を伝えるための曼陀羅は空海によって日本に持ち込まれた

真言宗の開祖である空海(弘法大師)は804年、中国の唐に渡り、密教の奥義を会得し、日本でもその教えを広める活動をする。空海が唐から持ち帰ったものの中には経典はもちろんのこと、曼陀羅も含まれていたという。ここでは密教における曼陀羅の意味を考えてみたい。

曼陀羅とは?

曼陀羅とは密教において、大日如来の説く悟りの境地を視覚的に表した図像のことで、空海の師、恵果(けいか)が密教の奥義を言葉で伝えることが難しいとして「両界曼陀羅図」を描かせたと伝えられている。

「胎蔵界曼荼羅」

「胎蔵界曼荼羅(教王護国寺)」

曼陀羅には2つの世界(両界曼陀羅)があり、一つは「胎蔵界曼荼羅」で、京都の教王護国寺(東寺)に伝わるそれには、中心に法界定印を結んだ大日如来がおり、その周りには4体の如来と4体の菩薩が配置されている。

「胎蔵」とは蓮の花に包まれた仏の世界を意味し、中心には蓮華の形をした赤い花弁が描かれている。仏たちは整然と並べられ、ふくよかな姿と異国風な顔立ちが印象的である。

「金剛界曼荼羅」

「金剛界曼陀羅(教王護国寺)」

もう一方の「金剛界曼荼羅」は9つの四角で分けられた枠内に、多数の円と四角が交差する。上段中央には一際大きく大日如来が描かれており、左の人差し指を右手で握る智拳印結び、智恵の世界を表現している。

国によって密教のスタイルは異なる

日本の場合、儀式を行う際は大日如来像を前にして、右に「胎蔵界曼荼羅」左に「金剛界曼陀羅」を掛けて宇宙の中心にいる感覚を得る。

古来インドの密教の修行では土壇に仏像を配置していたが、中国では曼陀羅を掛けて行われた。

空海も中国のスタイルに倣って曼陀羅を大切に持ち帰り、密教の奥義を伝える活動を行なった。

日本でも様々な曼陀羅が描かれた

教王護国寺に伝わる両界曼陀羅は最古の彩色本で保存状態も非常に良い。一説では空海が唐から持ち帰ったものとされるが、断定はされていない。

いずれにしても大日如来の教えを示す極めてユニークな造形であり、10世紀以降、日本でも様々な形の曼陀羅が描かれた。

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