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「浮世絵」の「浮世(うきよ)」とは?

  • 2020年6月13日
  • 2020年6月29日
  • 浮世絵
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喜多川歌麿「当時三美人」

「浮世絵」はご存知のように江戸時代に庶民の間で爆発的に人気を博した娯楽芸術ですが「浮世絵」の「浮世」とはそもそも何なのでしょうか?ここでは「浮世(うきよ)」の世界をご紹介したいと思います。

「浮世」は「憂世」だった

実は「浮世」という言葉は江戸時代以前にはなかったのです。それ以前は「憂世」という言葉が使われていて、世の中の辛く苦しいことを「憂うべき世界」として認識していました。

しかし、時代が戦国時代から江戸時代になると、世の中が平和になり、庶民の時代感覚も「憂世」から「浮世」という世界観へと変化していきました。

この「浮世」とは、平和な世の中にあっても生きていくのは辛いものであり、どうせそのような辛い世を生きていくのであれば、今この瞬間を楽しく浮かれて生きていこうという京楽的な意味が込められています。「うきよ」と同じ読みでもポジティブな感情が芽生えていることがわかります。

浮世絵は時代を映す鏡

今この瞬間を楽しめれば良いという考えが広まると、庶民はこぞって遊里や歌舞伎の世界にのめり込んでいきます。そこでヒットしたのが遊里を描いた美人絵や歌舞伎スターを描いた役者絵などです。

「浮世絵」の主要なジャンルに遊里や歌舞伎などの浮世を描いた絵が多いのはそういった理由からなのです。

例えば美人画ではその時代ごとに描かれる対象もスタイルも異なっています。その時、その時の流行りが現れたり、次から次へと描かれる対象が変わっていくのも「浮世」の世界が色濃く反映されています。


まとめると「浮世絵」の「浮世」は、本来の意味である時代を憂う気持ちが、時代が平和となったことで、京楽的な気持ちが芽生え、そのポジティブな時代感覚が新しい題材やスタイル、芸術様式を生み出す原動力となっていきました。

浮世絵が庶民の間に爆発的に広まった背景にも、浮世の時代を敏感に反映させた絵師や版元(プロデューサー)といった人たちの影響が大きいといえます。

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